
押したらおしまい!
2023年4月15日コークのITリテラシー絵本シリーズ1
押したら、“おしまい“ 作 永田浩一
「コーク、知らないボタンは絶対押しちゃダメよ!」
マムはそう言って、コークにタブレットを渡しました。
マムはなんだかとっても忙しそうです。
コークは好きな絵本アプリのボタンを押してながめていると、
押しちゃダメと言われたボタンがキラリと光って、ムシの姿になり、
「押しちゃえよ!」という声が聞こえてきました。
マム!ムシさんが押しちゃえよ!って言ってるよ~」
「今忙しいから後でね!」
虫のボタンはキラキラ光って「押しちゃえよ!」と叫び続けます。
コークは少しなら大丈夫と思い、ボタンを恐る恐る押してみました。
ムシは1匹だったのが2匹、3匹、4匹、5匹、6匹、7匹、8匹、9匹、10匹と、どんどん増えて、家中ムシだらけになりました。
マムは驚いた顔で、ムシだらけになったパソコンを持って飛んで来ました。
ダッドもムシのせいで仕事が台無しだ!と悲しそうです。姉のエルダーもムシだらけの電話に怖がって、妹のリトルも犬のチョコも泣いてます。
いつの間にかあのボタンはムシの姿からお金のマークになり、光り出しました。
コークはどうにかしようと、お金のボタンを急いで押しました。
するといきなりお家がボロボロになり、みんなもボロボロの姿になりました。
みんなどうしたの?」「コークがあのボタンを押したから貧乏になったのよ!」
あの優しいマムはもういません。みんなも怖い顔をしています。
またあのボタンが今度は、黒い人影の姿に代わり、光り出しました。
コークは怖くなり逃げ出そうと、もう一度そのボタンを押しました。
すると突然真っ暗になり、どこか暗い部屋に知らないおじさんがいました。
「ここはどこ?ボク帰りたいんだ」「ダメだよきみがあのボタンでここに来たんだから」
コークは泣きながらもう一度ボタンをみると、”おしまい”という文字が光りました。
そのボタンを押そうとした時、「コーク、知らないボタンは絶対押しちゃダメよ!」
というマムの声を思い出して、コークはいつもの絵本のボタンを押し続けました。
すると、いつもの明るいお家になって、目の前にはマムがにっこり立っています。
「コーク誕生日のプレゼントよ!」コークが欲しがっていたパソコンです。
マムはコークの為にパソコンを使う準備で忙しかったのです。
「コーク、知らないボタンは絶対押しちゃダメよ!」
「うん、絶対約束するよ、ちゃんとパソコンの勉強をするね!」
ハッピーバースデー コーク! ダッドもエルダーもリトルもみんな笑顔です。
− エピローグ
その頃、1匹のムシが、”おしまい”と書かれたボタンを抱えてコークの家から飛び出してきました。
「もう少しであの家族も”おしまい”だったのに!」
「次は、君の家に行くから待ってろよ!」
おしまい